外食業の店長・エリアマネージャーに過重労働とハラスメントリスク ― 過労死白書で明らかに

エリアマネージャーが危ない?外食産業に見る「責任者の過労とハラスメント」リスク
2025年11月、政府が発表した「令和7年版 過労死等防止対策白書」では、外食産業におけるエリアマネージャーや店長の労働実態が明らかになりました。中小企業においても「責任者層のメンタルヘルス」は決して他人事ではありません。今回は白書の分析をもとに、企業がとるべき実務対応について解説します。
外食産業の「責任者層」に重くのしかかる長時間労働とハラスメント
政府の白書によると、外食産業における週60時間以上の長時間労働者の割合は14.9%ですが、店長では29.0%、エリアマネージャーでは24.0%と、責任者層に長時間労働が集中しています。
また、精神的な攻撃を含むパワハラ経験率は、エリアマネージャーが22.0%と産業平均(13.6%)よりも非常に高く、さらにはカスタマーハラスメント(カスハラ)の経験率も30.0%と最多でした。
責任感の強い管理者ほど「沈黙しがち」な現実
このような労働負荷やハラスメントに対して、エリアマネージャーや店長といった「中間管理職」は責任感が強く、声を上げづらい立場にあります。特に中小企業では「人手がいない」「自分しかできない」といった事情から、無理を続けた結果、メンタル不調や突然の離職につながるリスクもあります。
熊本県内中小企業がとるべき実務対応とは?
この白書のデータは、外食産業に限らず「多店舗展開」「現場任せ」「責任の分散が曖昧」な中小企業全体にとっても示唆に富んでいます。熊本県内の企業でも、以下のような対策が重要です。
- 管理者層の労働時間と業務負荷の「見える化」
- 定期的な1on1面談によるメンタルケア
- ハラスメント対策研修の実施と相談体制の整備
- 業務分担や人員配置の再設計による負荷分散
まとめ:企業の「持続可能性」は、管理者の健康から
「管理者が倒れたら、現場が回らない」——これは多くの中小企業に共通するリスクです。だからこそ、経営者が率先して管理職の健康管理と業務設計を見直すことが、組織の持続可能性を高める第一歩になります。
当事務所では、就業環境の整備やハラスメント対策、健康経営の導入支援も行っています。少しでも気になる点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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