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人事労務ニュース

元社員による顧客リスト持ち出しで逮捕─中小企業が知っておくべき「営業秘密管理」の盲点

元社員が同業他社に顧客リストを持ち出し、新しい勤務先で活用していたとして、会社社長ら4人が逮捕されました。今回の事件は、すべての中小企業にとって「自社の情報が守られているか」を問い直す機会でもあります。不正競争防止法の視点から、企業として取るべき実務対応を解説します。

顧客リストの持ち出しで逮捕──実際に起きた事件

2025年11月、東京の法人向け引っ越し代行業者の社長ら4人が「顧客リストを不正に持ち出した」として、不正競争防止法違反の疑いで逮捕されました。持ち出しを行ったのは元社員で、前職の同業他社から顧客情報をスマホで撮影し、新たな勤務先に提供していたというものです。

このような事件は大企業だけの話ではなく、中小企業にも十分起こりうる問題です。

営業秘密とは?──不正競争防止法の基本

不正競争防止法では、「営業秘密(第2条6項)」を不正に取得・使用・開示する行為を禁じています。営業秘密と認められるためには、以下の3要件を満たす必要があります。

1. 秘密として管理されていること(秘密管理性)
2. 事業活動に有用な情報であること(有用性)
3. 公然と知られていないこと(非公知性)

つまり、「顧客リスト」は単に存在するだけでは営業秘密にはならず、会社がどのように管理していたかがポイントです。

実務上のリスク──中小企業にありがちな落とし穴

熊本県内の中小企業では、次のような状況が少なくありません。

– 顧客リストがExcelで共有フォルダに置かれている
– 退職時に情報の返却・削除確認を行っていない
– 情報管理に関する誓約書が存在しない、または形骸化している

こうした状態では、万が一情報が持ち出されても「営業秘密として保護されない」可能性が高まります。

営業秘密をどう守るか──中小企業でもできる3つの対策

1. 情報管理ルールの明文化と運用
– 社内の機密情報に関する取り扱いマニュアルを整備しましょう。
– 顧客情報・価格表・見積テンプレートなど、対象情報を特定することが重要です。

2. 入社・退職時の誓約書の活用
– 入社時には「秘密保持誓約書」を、退職時には「機密情報の返却・削除確認書」を取り交わすことが望まれます。

3. 情報管理のIT化・ログ管理
– ファイルアクセスやUSB使用履歴の記録、スマホ撮影の抑止など、ツールを活用した対策も効果的です。

まとめ──トラブルを防ぐのは「管理の仕組み」

今回の事件のように、元社員の転職後の行動が企業間トラブルに発展するケースは増加傾向にあります。
中小企業でも「うちは大丈夫」と思わず、今一度、自社の情報管理体制を見直すことが必要です。

「管理しているつもり」ではなく、「管理していると言える証拠」を日々積み重ねておくことが、会社を守る第一歩となります。

 

荻生労務研究所では、秘密保持誓約書の作成支援や、情報管理体制の見直しのご相談を承っております。お気軽にご相談ください。

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