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賃金引き上げ

韓国の最低賃金大幅引き上げに学ぶ:熊本の中小企業が直面する「賃上げ」の現実と課題

日本でも最低賃金の大幅引き上げが議論される中、韓国の事例から学べることは何でしょうか? 本記事では、最低賃金の急上昇が企業経営や雇用形態に与える影響を、労務の専門家としての視点で整理し、熊本県内の中小企業が備えるべき課題と対策を考察します。

韓国の最低賃金引き上げ:数値のインパクトと実態

2018年、韓国では最低賃金が前年比16.4%上昇し、2019年にも10.9%の引き上げが続きました。この急激な変化は、一見すると労働者にとって「好待遇化」のように映りますが、雇用の質と安定性に深刻な影響を及ぼしました。

特に非正規雇用の割合が1年間で3.4ポイント上昇したことは注目すべきポイントです。政府による公共事業が雇用を一時的に押し上げた一方、製造業では自動化による人員削減が進行。結果として、安定的な正規雇用は減少傾向を示しました。

日本の現状と熊本県内の実感

日本でも政府は最低賃金1,500円を目標に掲げ、毎年7%台の引き上げが必要とされています。熊本県の中小企業経営者にとって、この流れは人件費の急騰に直結するため、経営戦略に大きな見直しが迫られます。

特に製造業や介護・小売業など、労働集約型で価格転嫁が難しい業種では、韓国と同様に非正規化や自動化の加速が懸念されます。中小企業の現場では、「雇用を守るためにあえてパート化する」という選択肢が現実的に検討される場面も増えるでしょう。

高齢者や一人親世帯への影響

韓国では高齢者の再就職が難しく、最低賃金の上昇がかえって雇用機会の減少を招いたとの指摘があります。日本でも高齢者雇用や一人親世帯の貧困問題が顕在化しており、「最低賃金引き上げ=万能な解決策」と捉えるのは危険です。

特に熊本県では高齢化が進み、定年後も働きたい人が多い現状を踏まえると、「誰もが働ける環境」を守るには、緩やかで実態に即した賃金政策が求められます。

熊本の中小企業が今からできること

1. 人件費シミュレーションの見直し:最低賃金1,500円シナリオを想定した経営計画の再設計。
2. 働き方の柔軟化:業務の見直しや多能工化、時短正社員の導入で対応力を強化。
3. 公的支援制度の活用:業務改善助成金やキャリアアップ助成金など、制度を積極的に活用。

急がば回れの賃上げ戦略

最低賃金の引き上げは重要なテーマですが、「スピード感」が過ぎると雇用や企業体力に歪みが生じます。韓国の教訓から得られる示唆は、熊本県の中小企業にとっても他人事ではありません。経営者として、目先の数値に翻弄されず、自社に合った持続可能な賃上げの道を模索していきましょう。

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