精神疾患による休職者の復職支援に新たな指針|人事院マニュアルから民間企業が学ぶべきポイント

精神疾患による長期休職者の職場復帰──これは多くの中小企業にとって非常にデリケートかつ実務上の難所です。2025年6月20日、人事院が発表した「復職支援マニュアル」は、民間企業にとっても極めて実用的な内容となっており、特に熊本県内の中小企業にとっても大きな示唆を与えるものです。今回はこのマニュアルのポイントを、実務にどう落とし込むかという視点で解説します。
人事院マニュアルの概要
このたび人事院が公表したマニュアルは、精神疾患による長期休職者の「復職支援」に特化した実務的な手引書です。
特徴的なのは、復職を支える関係者(管理者・本人・主治医・産業医など)間での「情報共有の書式」が極めて充実している点。特に、復職判定の際の判断材料として、「役職・責任・業務内容・勤怠状況等の詳細情報」を医師に提供する形式は、これまで現場で曖昧になりがちだった部分に明確なガイドを与えます。
民間企業が注目すべき3つの実務ポイント
① 書式の明文化と記入例の充実
→ 中小企業でも流用可能なフォーマットが整っており、特に担当者が「どこまで書けばよいか」と悩むことが減ります。
② 復職可否の9項目基準
→ 「就労意欲」「安全に通勤できる」「フルタイム勤務継続の可否」など、定性的な判断に一定の客観性を持たせられる内容。
③ 本人の同意に基づく情報共有
→ 個人情報保護の観点からも慎重な対応が求められる中、この同意の取得は実務者にとって安心材料になります。
熊本県内中小企業への示唆
熊本でも、職場のメンタルヘルス課題は顕在化しています。従業員数が限られる企業ほど、1人の長期休職が経営やチーム全体に及ぼす影響は大きく、復職対応における「実務の型」がないことが不安要素となっていました。
今回のマニュアルは、まさにそうした企業にこそ活用していただきたい内容です。
当事務所からのご提案
当研究所では、この人事院マニュアルをベースにした「中小企業版・復職支援マニュアル」作成支援を承ります。貴社の就業規則や体制に即したオリジナル対応も可能です。また、復職面談時の同席や、主治医・産業医との連携支援も行っております。
「備え」が「不安」を減らす──これは労務管理の基本です。ぜひご相談ください。
まとめ
精神疾患と向き合う従業員への適切な支援は、企業の信頼性と持続可能性を高める重要な要素です。今回のマニュアルは「公務員向け」ではありますが、「実務者目線」でつくられた点で、民間企業にとっても大きなヒントとなるでしょう。
詳しく知りたい方へ:当事務所では初回の無料相談も受付中です。お気軽にお問い合わせください。
関連記事
-
公務員の7割が経験「カスハラ」の実態調査│熊本の中小企業も他人事ではない理由 公務員の7割が経験「カスハラ」の実態調査│熊本の中小企業も他人事ではない理由 -
医師の時間外労働上限規制 評価手続に関するホームページが公開 医師の時間外労働上限規制 評価手続に関するホームページが公開 -
熊本市電「非正規79人」問題にみる、地域公共インフラと雇用の課題 熊本市電「非正規79人」問題にみる、地域公共インフラと雇用の課題 -
⑩最新セミナーから学ぶ!生成AI活用Q&Aと中小企業の安全運用ポイント ⑩最新セミナーから学ぶ!生成AI活用Q&Aと中小企業の安全運用ポイント -
④生成AIの誤情報(ハルシネーション)対策を労務管理に活かす技術と注意 ④生成AIの誤情報(ハルシネーション)対策を労務管理に活かす技術と注意 -
「労働者」の定義が40年ぶりに見直しへ?中小企業が知っておくべき影響とは 「労働者」の定義が40年ぶりに見直しへ?中小企業が知っておくべき影響とは