「荷待ち」「荷役」が減らない…熊本の運送会社が直面する“見えにくい負担”とは?【第2回】

制度としては始まった2024年の働き方改革。しかし熊本の現場では、ドライバーを悩ませる「荷待ち」「荷役」の負担がいまだに残っています。
本記事では、熊本県内の中小物流会社・運送会社の経営者、人事労務担当の皆さまに向けて、現場で起きている実態と、今すぐ始められる対応策をお伝えします。
制度は始まった。でも現場では何も変わらない?
時間外労働の上限が定められて1年以上が経ちましたが、「何も変わっていない」という声が熊本県内の運送会社から届いています。
特に多く挙がるのが、以下のような課題です:
- トラックが到着しても荷物が準備されていない
- 積み込み・荷役に毎回2時間以上かかる
- その時間には報酬が発生していない
制度が変わったはずなのに、実際の業務負担は変わらない。これは現場で働くドライバーにとって大きな不満や疲弊の原因となります。
荷主に「言えない」から変わらない
特に中小の運送会社では、「荷主に改善を求めたいけれど、言い出しづらい」という実情があります。
- 長年の取引先だから関係を壊したくない
- 交渉の材料がない
- 運賃を下げられることを恐れてしまう
こうした背景から、交渉を避け続けてしまうケースも多く見られます。
荷主に伝えるには「準備」が必要です
私は、これまで熊本県内の多くの物流事業者の皆さまと関わる中で、強く感じていることがあります。
それは、「言えない」のではなく「言う準備が整っていない」ということです。
荷主に改善を求めるには、まずは自社の現場実態を数値で把握しておく必要があります。
- 荷待ちや荷役にどれくらい時間がかかっているのか?
- その間のドライバーの拘束時間と賃金は?
- 荷役・荷待ちが法的にはどう扱われているのか?
これらを明確にした上で説明すれば、対話の質が大きく変わってきます。
熊本県内でも、改善に踏み出した事例があります
たとえば、JA熊本市北東営農センターでは、パレットやフォークリフトを導入し、手積みにかかっていた時間を2時間から30分に短縮しました。
このように、出荷側が荷役効率化を図ることで、ドライバーの拘束時間が削減されるだけでなく、全体の作業効率も上がるのです。
当事務所でできること
当事務所では、以下のような支援を通じて、熊本の物流会社さまの「交渉力」と「現場整備」をサポートしています:
- 拘束時間や荷待ち実績の整理支援(Excel・クラウド活用)
- 勤怠管理システム、給与計算システム導入のご相談
- 荷主に説明するためのトークスクリプト作成
- 荷役・荷待ちの取り扱いに関する法令要点の整理
「まずは自社の状況を整理したい」
「交渉材料となるデータを整えたい」
そんな方は、お気軽にご相談ください。
今が交渉・見直しのチャンスです
2024年の制度改正をきっかけに、社会全体が物流現場に目を向けるようになりました。
今であれば、「制度が変わったので改善が必要」という説明に対し、相手の理解も得やすいタイミングです。
熊本県内の物流会社の皆さまが、無理なく、安定的に事業を続けられるよう、私たち社労士が実務から支援いたします。
※この記事は全3回シリーズの第2回です。
第1回では「制度の背景と現場実態」、第3回では「収入減・人手不足と価格交渉の視点」についてお届けしています。
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