ハローワーク求人票、見直していますか?―東京労働局の調査に学ぶ、熊本企業の採用改善ヒント

「求人を出しても応募が来ない」そんな悩みを抱える熊本の中小企業経営者の皆さまへ。東京労働局が初めて実施した求職者ニーズ調査の結果から、ハローワーク求人票を見直すヒントが見えてきました。本記事では、調査のポイントと、熊本企業が活用すべき具体的な改善視点を社会保険労務士の立場から解説します。
求職者ニーズを可視化する動き
東京労働局は、2025年6~7月にかけて都内の求職者を対象に、仕事選びで重視する条件についてアンケート調査を実施しました。注目すべきは、賃金や福利厚生といった基本条件に加え、「駅からの距離」や「周辺環境」など、従来の求人票では見落とされがちな「勤務場所の魅力」に関するニーズまで調べている点です。
調査結果は、今後ハローワークが企業へ求人票改善のアドバイスを行う際に活用される予定です。
求人票改善のカギは「データ+実感」
これまでハローワークでの求人指導は、職員の経験則に基づくものでしたが、今後はこのような調査データをもとに「この職種の人材は、こういう条件を重視している」といった、より説得力ある提案がなされるとのことです。
これは、熊本の企業にとっても大きなヒントになります。地方においても、「通勤しやすさ」「勤務場所の快適さ」「周辺施設の利便性」など、生活とのバランスを求める求職者ニーズは高まっています。中には「近くにランチがとれるお店が多いか」など、都会と同様の視点を持つ求職者もいます。
熊本企業が取り組むべき具体策
1. 求人票の記載を見直す
職種や業務内容だけでなく、職場の立地や周辺環境、福利厚生の具体例を丁寧に記載しましょう。
2. 写真や動画の活用
自社ホームページや採用ページに職場環境の写真・動画を掲載し、ハローワークの求人票にリンクを貼る工夫も有効です。
3. 求職者の「目線」で書く
経営者視点ではなく、「自分がこの職場に通うとしたら?」という感覚で求人票を点検しましょう。
採用は「選ばれる努力」から
採用は単なる人材募集ではなく、企業の魅力を発信し、選ばれる努力をするプロセスです。熊本県内においても人材確保が困難な今、ハローワークの求人票は貴重な「第一接点」。その質を高めることが、採用成功への第一歩となります。
今後、熊本労働局でも同様の調査や支援が展開される可能性がありますが、企業自身が先回りして求人票を見直し、改善を図ることが重要です。自社の求人票、ぜひ一度見直してみてください。
社会保険労務士 荻生労務研究所
代表 荻生 清高(特定社会保険労務士)
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