熊本の小規模事業者の人手不足対策に|くまもと型応援補助金の活用ポイント

くまもと型応援補助金で「コスト削減×生産性向上×人材確保」を同時に進めるポイント
熊本県内に拠点を置く小規模事業者の皆さまにとって、物価高・人手不足・賃上げ対応の同時進行は、経営上の大きな課題です。
その打ち手の一つとして活用したいのが、熊本県の「くまもと型応援補助金」です。設備投資や販路開拓、採用・定着に関する取り組みなど、経営課題の解決に向けた費用の一部が補助されます(補助率が高いのが特徴です)。
本記事では、制度の概要を整理しつつ、熊本県内企業の経営者・人事総務担当者の方向けに「どう使うと効果が出やすいか」を、実務目線でまとめます。
※申請書類の作成や申請手続きの具体的な進め方は、当事務所から行政書士をご紹介できます(記事後半で触れます)。
1. くまもと型応援補助金とは(全体像)
本補助金は、小規模事業者が「持続的な成長・発展」を目指し、賃上げ原資の確保を含む経営課題の解決に前向きに取り組む場合に、必要経費の一部を補助する制度です。
取り組みの方向性は、大きく次の5つが示されています。
- コスト削減
- 生産性向上
- 売上増加
- 付加価値訴求
- 人材確保
対象者は「熊本県内に主たる事業所を有する小規模事業者」です。小規模事業者の定義(従業員数の区分)も資料内に明記されています(商業・サービス業は5人以下、製造業その他は20人以下など)。
2. 補助率・上限額:高補助率(9/10)と上限の考え方
本制度の大きな特徴は補助率が「9/10(90%)」である点です。
補助上限額は、従業員数に応じた4段階です。
・従業員なし(0人):20万円
・1〜4人:50万円
・5〜9人:100万円
・10〜20人:200万円
「少額でも効く投資」を積み上げるのに向いている一方、上限が従業員数で決まるため、やりたいことを詰め込み過ぎると焦点がぼやけます。
後述しますが、経営課題から逆算して「何に絞るか」を先に決めるのがコツです。
3. 申請期間・申請方法のポイント(“着手前”が原則)
申請期間は、資料では「令和8年2月24日〜令和8年9月30日まで」と示されています(予算額に達した場合は、期限前でも受付終了の可能性あり)。申請は熊本県ホームページからの電子申請とされています。
そして最重要の注意点がこちらです。
「交付決定を受ける前に着手(発注や契約)したものは補助対象外」
現場では、ここでつまずくケースが少なくありません。
例えば、採用サイト制作や機械導入で「先に発注してしまった」「契約日が交付決定前だった」などです。社内の稟議・発注フローと補助金スケジュールを、必ず擦り合わせましょう。
4. 補助対象経費:何に使えるのか(代表例)
資料では、補助対象経費として以下が挙げられています。
・機械装置等費
・広報費
・ウェブサイト関連費
・展示会等出展費
・旅費
・新商品開発費
・借料
・委託・外注費
・研修費
・雑役務費 等
さらに資料2ページ目には、5つの取り組み類型ごとに活用事例が整理されています。例えば、
【コスト削減】省エネ設備、外注の内製化に向けた設備、清掃ロボット等
【生産性向上】POS・セルフレジ、受注/予約管理、クラウド会計、工程改善、機械導入等
【売上増加】展示会・商談会、ECサイト/HP、テイクアウト開始に伴う設備、免税販売管理、移動販売の改装等
【付加価値訴求】SNS広告、ロゴ/パッケージ刷新、キャラクターグッズ、PR動画、チラシ等
【人材確保】求人広告、採用ホームページ、職場環境整備(休憩室・トイレ等)、人事データベース、資格取得・研修等
「売上を伸ばす施策」だけでなく、「人材確保」「職場環境」「省エネ」まで対象に含まれている点が、実務的に使いやすいと感じます。
5. 効果が出やすい“使い方”3選(熊本の中小企業向け)
ここからは、当事務所が労務・人事の視点も踏まえ、効果が出やすい組み立て方を3つ紹介します。
(1)人手不足対策は「採用」より先に“省力化”で余力を作る
採用は中長期戦になりがちです。先に「セルフレジ」「予約管理」「受注管理」「クラウド会計」などで業務時間を圧縮し、既存人員で回る体制に寄せると、採用の必然性と緊急度が下がります。
結果として、採用条件(賃金・休日・教育体制)を整える時間が確保でき、定着率も上がりやすくなります。
(2)賃上げ原資は「粗利改善(付加価値×単価)」で作る
賃上げ対応は、単に「売上アップ」よりも「粗利改善」に焦点を当てるのが王道です。
パッケージやロゴ刷新、PR動画、SNS広告など(付加価値訴求)を、ターゲットと提供価値の再定義とセットで行うと、値上げが“説明できる”状態になります。
特に熊本では、観光・外食・サービス業などで「見せ方が変わると単価が変わる」場面が多く、補助金との相性が良い領域です。
(3)人材確保は「募集」+「職場環境整備」をワンセットに
求人広告や採用ページを作っても、職場の実態(休憩室、トイレ、動線、備品、教育)が追いつかないと、応募が来ても辞退・早期離職につながります。
資料にも「従業員の働きやすい環境整備のための休憩室やトイレ等の整備」「資格取得・研修」などが例示されています。
採用発信と“受け皿”整備を同時に進めるのが、結果的にコスト効率が高いです。
6. 手続きの流れ:交付決定→実績報告→請求→支払
資料の図では、概ね次の流れが示されています。
①交付申請 → ②交付決定 → ③事業の着手・完了 → ④実績報告
→(⑤書類確認)→ ⑥額の確定 → ⑦請求 → ⑧支払
ここでも重要なのは「交付決定前の発注・契約は不可」という原則です。
また、見積書や仕様が分かる資料、熊本県税の未納がない証明等の添付が求められることが示されています。実績報告まで見据えて、契約書・納品書・支払証憑などの整理ルールを最初に決めておくと安心です。
7. 申請書類作成・申請手続きの支援について(行政書士をご紹介します)
補助金は「要件に合致する計画を、求められる形で書類に落とし込む」ことが採択・交付の入口になります。
当事務所は、労務管理・人材確保・職場環境整備(就業規則、労働時間、賃金制度、採用・定着、助成金活用等)を中心に伴走しますが、本補助金申請書類の作成や電子申請などの手続き面については、必要に応じて行政書士をご紹介し、連携して進めることが可能です。
「補助金で設備・広報を整えたい」だけでなく、
・賃上げに耐える制度設計(評価・賃金・人員配置)
・採用~定着の導線づくり(募集条件、労働時間、教育)
・業務の標準化と生産性向上(属人化の解消)
まで含めて整えると、補助事業の効果が“経営に残る形”になります。
8. まとめ:まずは「課題→施策→経費」の順で整理しましょう
くまもと型応援補助金は、補助率9/10という強力な後押しがある一方で、「着手前」「書類整備」「実績報告」など、段取りが成果を左右します。
おすすめの進め方はシンプルです。
(1)今いちばん痛い経営課題を1つ決める(例:人手不足、原価上昇、受注処理の逼迫)
(2)5類型(コスト削減/生産性/売上/付加価値/人材)のどれで解くか決める
(3)対象経費に落とし込む(設備、広報、ウェブ、研修など)
(4)交付決定前に発注しない体制を社内で作る
当事務所では、労務・人事の観点から「補助金を使って終わり」ではなく、賃上げ原資の確保や定着改善まで含めた設計をご相談いただけます。
申請手続きが必要な場合は、行政書士と連携して進められる体制をご案内しますので、お気軽にご相談ください。
参考資料
・「くまもと型応援補助金」チラシ (PDFファイル)もご参照ください。
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