【2025年最新】中途採用賃金の実態 熊本は唯一の「マイナス」伸び、今なにが起きている?

厚労省が最新の中途採用時の賃金調査(令和6年度下半期)を発表しました。全体としては右肩上がりの中、熊本県だけが前年同期比で「2.8%減」と異例のマイナス。中小企業の採用戦略にどのような影響があるのか、実務視点で読み解きます。
全国的には5年で1割増、採用単価の上昇が常態化
調査によれば、全職種平均で5年間に約9.4%の賃金上昇が見られました。事務職36.5万円、技術職32.3万円、販売職28.8万円と、職種により差はあるものの、5職種で前年比3%超の伸びを記録しています。
この傾向は、採用競争の激化に伴い、企業が「即戦力人材」にプレミアムを支払っている構造変化を示しています。特に30代前半までの若年層においては伸び率が高く、売り手市場の様相を呈しています。
熊本は「唯一のマイナス」──技能系職種の動きに注目
47都道府県のうち、熊本だけが前年同期比でマイナス(-2.8%)。特に技能系・男性職種での一服感が影響していると考えられます。これは、台湾系半導体工場進出による「一時的な賃金高騰」が落ち着いたためです。
一方で、熊本は今も「高水準な賃金競争」が背景にある地域。これを「下がった」と見るか、「正常化」と見るかで、採用戦略は大きく変わります。
中小企業はどう対応すべきか?──「仕事基準」と「社内バランス」の狭間で
300人以上の大企業では、知見・経験豊かな中堅層にも3%超の上昇が見られますが、100人未満の中小企業では、給与水準と内部のバランスに悩む場面が増えています。
最近は「職能」ではなく「仕事基準」で給与を決める制度へのシフトも進みつつあります。自社にフィットした評価基準の見直しが、今後の人材確保の鍵となるでしょう。
まとめ
熊本の中小企業経営者にとって、今回の調査は「採用環境の転換点」を示しています。人材獲得競争の激化にどう向き合うか。自社の給与水準、評価制度、採用チャネルの見直しは待ったなしです。現場での実務経験と最新データに基づくアドバイスをご希望の方は、ぜひ当事務所までご相談ください。
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