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人事労務ニュース

海外勤務の現場で見えた、有給休暇の現実

先日、ルーマニアとチェコで勤務経験のある方から、有給休暇に関する興味深い話を聞いた。

日本の有給休暇制度は、半日や時間単位など、比較的細かく取得できる設計になっている。一方、海外ではいわゆる「バカンス」として、まとまった休暇を取る文化があるとよく言われる。私自身も、海外のほうが休暇をしっかり取るという印象を持っていた。

ところが、その方の話は少し違っていた。

ルーマニアやチェコでは、現地社員が有給休暇をあまり使おうとしないケースがあるという。理由は、退職時に未消化分をまとめて買い取ってもらうことを見込んでいるからだ。結果として、退職時に何十万円、ときにはそれ以上の支払いが発生することもあるらしい。会社としては想定外の負担になり、資金面でも管理面でも頭の痛い問題になる。

海外は休暇をしっかり取る文化だ、という一般的なイメージとは違う現実が、そこにあった。

この話を聞いて、まず感じたのは、制度の説明だけでは実態は見えてこないということだった。法律や制度設計はあっても、実際の運用は現場の意識や経済事情に大きく左右される。制度がどう作られているかよりも、人がどう使うかのほうが、経営にとってははるかに重要なのかもしれない。

同時に、日本との共通点も思い浮かんだ。

日本でも、退職が決まった社員が有給休暇をまとめて消化することは珍しくない。その結果、引き継ぎが十分にできなかったり、現場が混乱したりする。経営者からすれば、これもまた悩ましい問題だ。

退職が決まってからでは、できることは限られている。法的に認められた権利である以上、有給休暇の取得を止めることはできない。結局のところ、日頃から計画的に休暇を取得してもらい、未消化分をため込まないようにするしかない。

この発想は、日本特有のものだと思っていた。しかし、今回の話を聞いて、もしかすると海外でも同じことが言えるのではないかと感じた。

国が違っても、「人は合理的に行動する」という点は変わらない。退職時にまとまった金額が手に入るなら、使わずに残そうと考える人がいても不思議ではない。制度の背景や文化は違っても、起きる課題はどこか似ている。

だからこそ、「海外だから進んでいる、日本だから遅れている」と単純に比べることは、あまり意味がないのかもしれない。大切なのは、自社で何が起きているかを、丁寧に見ることだ。

制度を変えることは簡単ではない。しかし、日常の運用や社内の意識づくりは、経営の工夫次第で変えられる部分もある。例えば、計画的な取得を促す仕組みを作ることや、休暇を取ることが自然だと感じられる雰囲気を整えることなど、小さな積み重ねが将来の混乱を防ぐ。

今回の話は、海外事情を知る機会であると同時に、経営の基本を改めて考えるきっかけにもなった。一般論に安心せず、目の前の現場を見ること。制度の違いに目を奪われず、運用の実態に向き合うこと。

結局のところ、経営の課題はいつも個別具体だ。国が違っても、悩みの構造は驚くほど似ている。その事実を忘れずに、一つひとつの現場と向き合っていきたいと思う。

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