社会保険労務士の、荻生清高です。
令和8年度の雇用保険料率は、令和8年4月1日から変更されます。
そのため、給与は4月1日以降に締日が到来するものから、賞与は4月1日以降に賞与計算期間の締日が到来するものから、新しい雇用保険料率で計算します。
令和8年度は、令和7年度より雇用保険料率が引き下げられています。
一般の事業では、労働者負担は5/1,000、事業主負担は8.5/1,000、合計13.5/1,000です。
「4月支給分から変更するのか」「3月締め4月払いはどちらの料率か」「賞与は支給日と締日のどちらで判断するのか」と迷いやすいところですが、実務では支給日ではなく締日を基準に判断するのがポイントです。
この記事では、令和8年度の雇用保険料率とあわせて、いつの給与・賞与から新しい料率に変更すればよいのかを、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
令和8年度の雇用保険料率は引下げに
令和8年度の雇用保険料率は、前年度から1,000分の1(0.1%)の引下げとなります。
給与天引きする労働者負担分は、1,000分の0.5(0.05%)の引下げです。
(事業主負担も同様に、1,000分の0.5(0.05%)引下げられます。)
| 事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 5/1,000 | 8.5/1,000 | 13.5/1,000 |
| 農林水産・清酒製造の事業 | 6/1,000 | 9.5/1,000 | 15.5/1,000 |
| 建設の事業 | 6/1,000 | 10.5/1,000 | 16.5/1,000 |
※厚生労働省「雇用保険料率について」各年度の雇用保険料率
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html
まずは新年度の料率を確認したうえで、次にいつの給与・賞与から新しい料率を適用するのかを見ていきましょう。
新しい雇用保険料率は、いつから適用するのか? 時期判断の原則
雇用保険料率は、原則として毎年度見直しが行われ、通常は4月1日から翌年3月31日まで適用されます。
では、新しい雇用保険料率は、実際にはいつの給与・賞与から適用すればよいのでしょうか。
この点は、単純に「4月支給分から変える」と考えるのではなく、給与や賞与の締日を基準に判断することが大切です。
実務では、4月1日以降に締日が到来するものから新しい料率を適用すると押さえておくと分かりやすいでしょう。
以下、まずは給与について見ていきます。
給与の雇用保険料率は「4月1日以降に給与締日の来る給与」から変更する
給与については、4月1日以降に締日が到来する給与から、新しい雇用保険料率を適用します。
そのため、4月支給の給与であっても、締日が3月中であれば旧料率、締日が4月1日以降であれば新料率となります。
実務上は、支給日ではなく締日で判断すると整理しておくとよいでしょう。
具体的な判断は、次の例をご覧ください。
給与締日ごとの具体例
給与の雇用保険料率は、次のように締日基準で判断します。
例1 給与締日:15日、支払日:同月25日
→ 4月15日締め・4月25日支給分の給与から、新しい雇用保険料率を適用します。
例2 給与締日:25日、支払日:翌月10日
→ 4月25日締め・5月10日支給分の給与から、新しい雇用保険料率を適用します。
なお、4月10日支給分の給与は3月25日締めのため、旧料率で計算します。
例3 給与締日:末日、支払日:翌月15日
→ 4月30日締め・5月15日支給分の給与から、新しい雇用保険料率を適用します。
そのため、4月15日支給分の給与は3月31日締めとして、旧料率で計算します。
このように、雇用保険料率の変更時期は、何月支給かではなく、いつ締めた給与かで判断します。
賞与については、「4月1日以降に、賞与計算期間の締日が来た賞与」から料率を変更する
賞与についても、給与と同様に、支給日ではなく賞与計算期間の締日を基準に判断します。
そのため、4月1日以降に賞与計算期間の締日が到来する賞与から、新しい雇用保険料率を適用します。
反対に、支給日が4月以降であっても、賞与計算期間の締日が3月31日以前であれば、旧料率で計算することになります。
賞与計算期間は、就業規則や賃金規程で定めていることが多いため、あらかじめ確認しておくと安心です。
定めが不明確な場合は、この機会に規程を見直しておくと、今後の実務対応もしやすくなります。
よくある質問(FAQ)
ここまで、雇用保険料率の変更時期についてご説明しました。
最後に、実務上よくあるご質問を簡単に整理しておきます。
Q1. 雇用保険料率は、いつから新しい料率に変わりますか?
令和8年度の雇用保険料率は、令和8年4月1日から適用されます。
給与・賞与ともに、4月1日以降に締日が到来するものから新しい料率で計算します。
Q2. 4月支給の給与なら、新しい雇用保険料率になりますか?
支給日だけでは判断しません。
給与は、締日を基準に判断します。
そのため、3月締め4月払いの給与は旧料率、4月締め5月払いの給与は新料率となります。
Q3. 月末締め翌月払いの会社は、いつの給与から変更すればよいですか?
月末締め翌月払いの場合は、4月30日締め・5月支給の給与から新しい料率を適用します。
3月31日締め・4月支給の給与は、旧料率のままです。
Q4. 15日締めや25日締めの会社は、いつから変更になりますか?
締日が4月1日以降であれば、新しい料率を適用します。
たとえば、15日締め25日払いなら4月15日締め分から、25日締め翌10日払いなら4月25日締め分から変更します。
Q5. 賞与は支給日と締日のどちらで判断しますか?
賞与についても、支給日ではなく賞与計算期間の締日で判断します。
支給日が4月以降でも、計算期間の締日が3月31日以前であれば旧料率となる場合があります。
Q6. 給与計算ソフトの設定は、いつ変更すればよいですか?
4月1日以降に締日が来る給与・賞与を計算する前に設定を確認しておくと安心です。
実務では、支給月ではなく締日基準で切り替えることがポイントです。
参考:過去には例外的な改定もありました
通常、雇用保険料率は毎年4月1日に見直されます。
ただし、過去には新型コロナウイルス感染症の影響により、年度途中の10月1日で料率変更が行われた例もありました。
もっとも、この場合でも締日基準で新料率へ切り替えました。
そのため、例外時でも給与・賞与ともに締日基準で新料率へ切り替えると考えて差し支えありません。
まとめ
令和8年度の雇用保険料率は、令和8年4月1日から適用されます。
給与については4月1日以降に締日が来る給与から、賞与については4月1日以降に賞与計算期間の締日が来る賞与から、新しい料率で計算します。
実務上は、支給日ではなく締日を基準に判断することポイントです。
迷ったときは、自社の給与締日や賞与計算期間、給与計算ソフトの設定を確認しておきましょう。
判断に迷う場合は、就業規則や賃金規程の内容もあわせて確認し、必要に応じて専門家へ相談すると確実です。

