【注意喚起】2025年熊本県の最低賃金引き上げと「月給制の落とし穴」―経営者が確認すべきポイント

2025年、熊本県の最低賃金は時給1,034円(+82円)へ大幅引き上げとなります(2026年1月1日発効)。
東京労働局が「月給20万円超えているから大丈夫」といった思い込みに注意を促しているように、熊本県内の中小企業にとっても、月給制の従業員を“時間額換算”して確認することが急務です。
東京で発覚した「月給制の最賃違反」
東京労働局が今年1~3月に行った監督指導では、142事業場で最低賃金違反が発覚。違反率は15.7%と全国平均(10%)を大きく上回りました。
とくに多かったのは「月給制で支給しているが、時間額に換算すると最賃を下回る」ケースです。これは熊本でも十分に起こり得ます。
熊本県の最低賃金:2025年最新データ
- 引き上げ額:+82円
- 引き上げ後の最低賃金:時給1,034円
- 発効時期:2026年1月1日
例 | 月給額 | 所定労働時間/月 | 時給換算 | 最低賃金(1,034円)との比較 | コメント |
---|---|---|---|---|---|
Aさん | 200,000円 | 173時間 | 200,000 ÷ 173 ≒ 1,156円 | 上回る | 見た目ではクリアだが、内訳次第で未達リスクあり |
Bさん | 190,000円 | 180時間 | 190,000 ÷ 180 ≒ 1,056円 | 上回るが余裕僅か | 月給の内訳次第で下回る可能性に要注意 |
Cさん | 180,000円 | 176時間 | 180,000 ÷ 176 ≒ 1,023円 | 未達 | そのままでは違反扱いになる可能性大 |
Dさん | 170,000円 | 170時間 | 170,000 ÷ 170 = 1,000円 | 大幅未達 | 完全に基準割れ、要見直し |
「月給20万円以上だから大丈夫」という思い込みは危険です。勤務時間数や手当の扱い次第で、容易に違反となります。
経営者が今すぐ確認すべきこと
1. 月給を時間額に換算し、最低賃金を下回っていないか確認
2. 固定残業代や各種手当を正しく算入(不適切な算入は違反扱い)
3. 就業規則・賃金規程の見直しで新しい最賃に対応
4. 従業員への説明を丁寧に行い、納得感ある運用を心がける
まとめ
2025年の熊本県最低賃金は1,034円へと大幅に引き上げられます。これは「時給制の従業員」だけでなく「月給制の従業員」にも影響を与える重大な改定です。
違反は罰則リスクだけでなく、従業員の不信感や採用難にも直結します。
当事務所では、給与体系の確認や規程の見直し、従業員への説明支援まで実務に即したサポートを行っています。
「うちは大丈夫だろう」と思う前に、一度チェックしてみませんか? お気軽にご相談ください。
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