2025年10月「カスハラ対策の義務化」へ ―熊本の中小企業が今、準備すべき3つの実務ポイント

厚生労働省は、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)防止措置を「義務化」する指針素案を公表しました。
施行日は2026年(令和8年)10月1日。
熊本県内でも小売・医療・介護・金融・サービス業など、顧客対応を伴う事業者はほぼすべて影響を受けます。
これまで「努力義務」だった領域が、いよいよ「義務」へ。
本記事では、社会保険労務士としての実務経験と熊本の中小企業支援の視点から、今回の指針をわかりやすく整理し、取るべき対応を解説します。
今回のポイント:カスハラ対策が“義務化”へ
厚労省が示した素案では、事業主が講じるべき措置として以下の4つが挙げられています。
1. 方針の明確化と周知・啓発
2. 相談体制の整備
3. 迅速・正確な事実確認と事後対応
4. 悪質行為への抑止措置(警告文・出禁・提供停止など)
特に注目すべきは、
「悪質な顧客への対処方針を定め、社内周知し、実行できる体制を整える」
と明記された点です。
事業者側の毅然とした対応が求められます。
カスハラの定義と典型例
指針ではカスハラを次の3要件すべてを満たすものと定義しています。
1. 顧客等の言動である
2. 社会通念上許容される範囲を超える
3. 労働者の就業環境を害する
具体例としては――
– 契約を大きく超えた要求
– 契約金額の著しい減額要求
– 大声での威圧
– 不必要な質問の執拗な繰り返し
などが挙げられています。
熊本でも、医療・福祉事業所、飲食、金融窓口、スーパー、タクシーなどで同様の相談が増えています。
熊本の中小企業が直面している現実
当事務所にも、以下の相談が年々増加しています。
– 「職員が怒鳴られ、退職を考えている」
– 「一部の顧客が無理な要求を繰り返すが、断れず困っている」
– 「管理者が“我慢しろ”と言ってしまい、二次被害になる」
特に人手不足の中では、“顧客離れより職員離れが深刻”です。
職員を守れない会社は、採用も定着も難しくなります。
今回の法改正(施行:2026年10月1日)は、経営としても「組織の耐性」を高めるタイミングと言えます。
中小企業が準備すべき3つの実務ステップ
これから半年〜1年で進めるべき対応は次の3つです。
(1)カスハラ対策方針の策定&就業規則・マニュアルへの明文化
– どこからが“カスハラ”に該当するのか
– 職員はどう対応すべきか
– 上司はどうエスカレーションを受けるのか
– 悪質顧客への対応方針(警告文、提供拒否、出入り禁止など)
これらを文書化し、社内に確実に周知することが必要です。
(2)相談窓口の整備と教育
– 相談窓口担当者の選任
– 職員研修(ケーススタディ中心)
– 初期対応の型(記録・事実確認・上長連絡)を整備
相談しやすい環境を整えることで、早期発見につながります。
(3)悪質行為への対応体制の構築
今回の指針で新たに求められているのは「実行可能な体制」です。
– 警告文のテンプレート準備
– 法的リスクを踏まえた“提供停止”の基準
– 出禁措置のフロー
– トラブル発生後の再発防止策の検討
小規模事業者ほど、判断基準を事前に定めておくことが重要になります。
まとめ:職員を守れる会社が選ばれる時代へ
ハラスメント対策は、
「会社のコンプライアンス」ではなく「会社の競争力」
に直結する時代になりました。
顧客第一主義の名の下に、職員が疲弊していく組織は長続きしません。
2026年10月の施行に向け、今から準備を進めることで、
“社員が安心して働ける会社”=“強い組織”
へと確実に近づきます。
当事務所では、
– カスハラ対策方針、対策マニュアルの作成
– 就業規則・社内規程の整備
– 相談窓口体制の構築
– 管理職研修・職員研修
– 悪質行為への実務対応支援
まで一貫してサポートしています。
必要な企業様は、どうぞお気軽にご相談ください。
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