2025年の中小企業賃上げトレンド|熊本の経営者が今考えるべき人件費戦略とは

物価高、人手不足、最低賃金の上昇。こうした環境の中で、2025年の中小企業はどのように賃上げに対応しているのでしょうか?
商工中金の最新調査(2025年11月実施)から見えてきた“現実”と、熊本県内中小企業経営者が今取るべき人件費戦略について、社会保険労務士の視点で解説します。
8割以上が「定例給与・時給」の引き上げを実施
2025年に定例給与・時給を引き上げた企業は85.4%と、4年連続の増加。2026年も7割超の企業が賃上げを予定しています。
ただしその背景には「モチベーション維持」や「人材確保」など前向きな理由よりも、「最低賃金対応」という義務的側面が強まっていることが特徴です。
賃上げ率は高止まり傾向も、負担感が増大
2025年の平均賃上げ率(定期昇給除く)は3.35%。前年並みの高水準を維持しており、2026年も3.03%と高めの計画です。
ただし、伸び率の上昇幅は鈍化し、企業からは「製品価格に転嫁できない」「昇給が固定費化して経営を圧迫する」といった声も多く上がっています。
賃上げできない企業の苦悩と、対処事例
一方で賃上げを見送る企業では、「雇用維持を優先」「業界平均以上の水準」「設備投資とのバランス」といった理由が挙がりました。
特に製造業や卸売業では、「受注不安」「価格競争で付加価値が確保できない」といった切実な声が聞かれます。
熊本の中小企業に必要な視点とは?
熊本の中小企業にとっても、今後「人件費=戦略的投資」と捉える転換が求められます。たとえば以下のような取り組みが有効です。
– 年齢別・役割別に最適化された賃金制度への見直し
– キャリアパス支援や非金銭的インセンティブの導入
– 同一労働同一賃金を意識した評価制度の整備
– 助成金の活用による賃上げ支援
制度設計の段階から、労務・人事・財務を連動させる視点が重要です。
まとめ
賃上げは避けて通れないトレンドとなっていますが、やみくもな対応では経営を圧迫しかねません。
熊本の中小企業が生き残るには、「持続可能な賃上げ戦略」を持ち、社員とともに成長する仕組みをつくることが求められています。
当事務所では、地域密着の労務支援を通じて、貴社の賃金戦略の立案をサポートしています。お気軽にご相談ください。
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