京都のスタートアップビザ成功事例を熊本へ!地域経済活性化のカギを探る

2025年4月、熊本市が「スタートアップビザ」制度を導入します。この制度は、外国人起業家が熊本で起業準備を進めるための在留資格を付与するもので、地方都市におけるグローバル人材の受け入れを促進する重要な一歩となります。
では、熊本がこの制度を成功に導くには何が必要なのでしょうか? 答えのヒントは、先行して制度を導入した京都の取り組みにあります。
熊本も注目すべき「スタートアップビザ」とは?
スタートアップビザとは、外国人が日本で起業準備をする際、最長2年間在留できる「特定活動」ビザを付与する制度です。 従来の「経営・管理」ビザでは高額な資本金やオフィス契約などが求められ、創業のハードルが高いとされてきました。 それを柔軟にしたのがこのビザ制度。地域が支援機関となって起業家を伴走支援するのが特徴です。
京都が取り組むスタートアップ支援の全体像
京都では2020年4月からスタートアップビザ制度を導入し、JETRO京都と自治体が一体となって支援体制を構築。 行政書士・弁護士・銀行との連携により、法人設立から資金調達、口座開設までスムーズに行えるよう設計されています。
外国人起業家に対する京都の具体的サポート内容
- 法人設立手続きの支援(行政書士の紹介)
- 資金調達に関する法務相談(国際弁護士の紹介)
- 銀行口座の開設支援
- オフィス紹介・助成制度
- 英語対応窓口の設置
京都では、言語の壁や制度理解のハードルを下げ、外国人でも安心して事業に専念できる環境が整備されています。
起業家たちが京都を選んだ理由とは?
たとえば、ARゲームを手がけるXORBIの創業者は、ゲーム産業の集積やVR研究機関の多さから京都を選んだと語っています。 また、建築資材の海外展開を行うKOUadの創業者は、職人との連携や地域資源の豊かさに魅力を感じての創業。 このように、都市の「魅力」と「支援体制」の両立が、選ばれる理由になっています。
3つの事例から見る成功パターン
【1. XORBI(ゾルビ)】
XORBIは、AR・VR技術を活用した次世代ゲーム体験を提供するスタートアップ。創業者のファリッド・ベン・アモール氏は、米国のエンタメ業界で活躍後、日本への関心を深め、次の挑戦の場として京都を選びました。背景には、京都におけるVR・AR研究の蓄積と、ゲーム産業の集積があります。任天堂や関連企業が集まるこの地域は、プログラマーやデザイナーなど多様な人材との接点が多く、XORBIにとって理想的な環境でした。スタートアップビザによって、スムーズに法人設立を進めるとともに、銀行口座の開設支援や専門家相談を活用。さらに、英語での対応が可能な相談体制にも助けられ、ストレスの少ない創業が実現しました。
【2. KOUad(コウエド)】
KOUadは、シンガポール出身のオン・リン氏が創業した建築資材のデザイン輸出スタートアップです。彼は15年以上にわたりアジアで建築ビジネスを展開し、日本の職人技術に可能性を見出して京都で起業。伝統的な技術と現代のデザインを融合させ、シンガポールやアジア諸国への展開を目指しています。創業時には、言語の壁に直面しながらも、ジェトロや行政書士の支援によって法人登記を完了。税理士への相談も併せて活用し、財務・会計面でも安心のスタートを切ることができました。ビザ制度がもたらす「信頼性」が、現地パートナーとの関係構築にも良い影響を与えています。
【3. Funfo(ファンフォ)】
Funfoは、飲食店向けのモバイルオーダーアプリを開発するスタートアップ。立命館大学卒の中国・台湾出身の若手起業家たちが創業しました。彼らが着想を得たのは、中国帰省中に見た「デジタル化された飲食オペレーション」。広い店内を少人数で運営する工夫に感銘を受け、日本の外食産業の課題である「人手不足」へのソリューションとして着想しました。スタートアップビザを活用することで、法人設立や知的財産に関する専門家との相談が可能に。また、銀行口座開設など日本特有の商習慣も支援体制のおかげで乗り越えることができました。さらに、制度を活用した経験が日本と海外で報道され、香港の投資家から約3,000万円の資金調達にもつながったという好例です。
熊本が学ぶべき「支援の仕組み」とは?
成功の背景には、起業家目線に立った“実務支援の仕組み”があります。 熊本でも、行政窓口だけでなく、専門家とのネットワーク形成や英語対応体制など、実務ベースでの支援設計が不可欠です。
熊本版スタートアップビザに必要な体制整備
熊本でもJETROや地域金融機関、商工会議所や各専門士業団体などと連携し、制度設計段階から支援ネットワークを構築すべきです。 特に、地方においては「初動のサポートの丁寧さ」が起業家の安心感と信頼感につながります。
ベンチャー支援者・自治体の実務視点から見た成功条件
支援者は「手続き支援」だけでなく、「事業立ち上げ後も続く人事・労務の相談相手」としての役割が求められます。 創業後の採用、就労ビザ対応、給与設計など、運営面での継続支援も重要です。
スタートアップ誘致がもたらす地域経済への波及効果
外国人スタートアップが地域で事業を始めると、新たな雇用・技術・投資がもたらされます。 さらに、グローバルネットワークが地域企業との連携を生み、経済の多様性と持続可能性が高まる可能性も。
熊本が目指すべき未来像と支援者の関わり方
熊本が「グローバル起業拠点」として発展するためには、制度だけでなく、それを支える“人と関係性”の整備が必要です。 私たち支援者は、制度の案内役だけでなく、起業家の右腕として動く伴走者でありたいと考えています。
熊本が次なるスタートアップの都になるために。 いま、私たち支援者一人ひとりの準備が問われています。
お気軽にご相談ください
スタートアップビザに関する詳細な手続きや在留資格のご相談については、XOSS POINTの窓口や、提携する行政書士をご紹介することが可能です。
また、当事務所では、創業後の人事・労務面の体制構築や、採用・労働環境整備に関するご相談を随時承っております。
制度と実務の橋渡しができる存在として、お気軽にご活用いただければ幸いです。
ご相談は、こちらのお問い合わせフォームからお寄せください。確認後ご連絡いたします。
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