【2025年版】同一労働同一賃金ガイドライン見直しへ──最高裁判決を反映した「7つの待遇」が焦点に

厚生労働省は、同一労働同一賃金ガイドラインの見直しに向けた「論点」を提示し、労働政策審議会での議論を進めています。今回の見直しでは、賞与や退職手当、家族手当など、過去の最高裁判決で焦点となった7つの待遇について、新たな指針が盛り込まれる見通しです。熊本県内の中小企業にとっても、今後の人事・賃金制度見直しに影響を与える内容となるため、早めの理解と対応が求められます。
背景:ガイドライン見直しの契機
2018年の働き方改革関連法で導入された「同一労働同一賃金」の制度。これに基づくガイドラインは、正社員とパート・有期雇用労働者との間にある不合理な待遇差の是正を目的とし、企業が遵守すべき具体例を示してきました。
しかし、その後の最高裁判決(長澤運輸事件、大阪医科薬科大学事件など)で、賞与や退職金、手当類に関する判断基準が示されたことで、ガイドラインとの整合性が課題となっていました。
今回の見直しで対象となる「7つの待遇」
厚労省は、以下の7項目について、新たにガイドラインへ明記する方向で検討しています。
1. 賞与
2. 退職手当(退職金)
3. 住宅手当
4. 家族手当(例:配偶者手当)
5. 病気休職・休暇
6. 夏季・冬季休暇
7. 無事故手当
これらは、いずれも待遇の「性質・目的」に照らして合理性が問われる項目であり、今後の運用次第では、制度設計の見直しが必要になる可能性があります。
中小企業経営者への影響と対応のポイント
熊本県内の中小企業にとって、これらの見直しは単なる法令順守にとどまらず、「人件費の配分」と「人材確保戦略」の両面で影響を及ぼすものです。以下の点に留意しましょう。
① 正社員待遇の「引下げ」は原則NG
非正規との格差是正を目的に正社員の待遇を一方的に下げることは、改正パート・有期雇用労働法の趣旨に反します。仮に見直す場合でも、労使合意が前提です。
② 手当の「目的」と「運用実態」の見直しを
例えば家族手当であれば、「配偶者の有無」が基準のままでは、働き方に中立とはいえず、見直しが求められます。手当の支給要件が時代に合っているか、再点検が必要です。
③ 「待遇差の理由説明責任」を意識
従業員からの説明要求に対して、経営側が合理的に説明できる体制づくり(制度趣旨・評価基準の文書化など)が求められます。
おわりに:企業価値を高める制度見直しへ
制度の見直しはコストではなく、「人材定着」や「公平な職場環境」の実現を通じて、中小企業の競争力強化にもつながります。
荻生労務研究所では、最新の法改正情報を踏まえた制度設計・就業規則改定のご相談を承っております。熊本の地元企業の皆さまとともに、持続可能な働き方改革を進めてまいります。
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